ある日系企業で、新しい業務フローを現地スタッフに説明した。手順を一つずつ確認しながら伝え、最後に「大丈夫ですか?」と聞くと、「わかりました」と即答が返ってきた。安心してその場を離れたが、翌週に現場をのぞくと、スタッフは元のやり方に戻っていた。理由を聞くと、また「わかりました、大丈夫です」。何がどう分かっていて、何がまだ引っかかっているのか、結局つかめないまま同じ説明を繰り返すことになった。
こうした場面に心当たりのある管理者は、決して少なくないはずだ。
なぜ"OK"は理解の証拠にならないのか
私たちがこれまで複数のお客様とお話しする中で、繰り返し出てくるパターンがある。日本人の駐在員と現地スタッフとの間だけでなく、他のお客さまとの会話でも同じ構図が語られる。「オッケーの一言で済ませてしまい、また同じことをやっている」。本当にわかっているのか確認すると、「わかってます、わかってます」と返ってくる——この繰り返しが、非常に高い頻度で起きているという。
この構図から見えてくるのは、システムや仕組みそのものがどれだけ良くできていても、本人が「なぜそれが良いのか」を本当に理解していなければ、結果として使われなくなるという事実だ。良いものを作ること自体が目的ではなく、それが本人にとってどう良いのかが腹落ちして初めて、現場は動く。
別の場面でも、似た構造が見えてきたことがある。導入したはずのシステムが定着しない他社の事例を一緒に紐解いていくと、「なぜそれを使った方がいいのかが、そもそもちゃんと理解できていなかった」ことが分かった。理解できていなかっただけでなく、中には「そもそも聞く気があまりなかった」というケースも含まれていたという。
「わかっているはず」で止まる現場の構造
口頭でのやり取りには、理解度を測る手段がほとんどない。「わかりました」という返事は、内容を理解したサインなのか、その場をやり過ごすための相槌なのか、話した側には区別がつかない。遠慮の文化や、上司に何度も聞き返しづらい空気の中では、理解していなくても「オッケー」で会話を終わらせる方が、その場では楽なのだ。
結果として、指導した側は「言った」ことで安心し、指導を受けた側は「わかった」と答えたことで会話が終わる。どちらも悪気はないが、本当に伝わったかどうかを確かめる手段がないまま、次の作業に進んでしまう。これが、同じ説明を繰り返すことになる構造的な理由だ。
在タイ歴・言語習熟度による差
この話を、タイ現地のある製造業パートナー企業との打ち合わせでも共有したところ、興味深い応答があった。その担当者は、「うちの会社はスタッフの多くが在タイ歴30年ほどだったり、ハーフの人もいたりして、そういう意味では細かくコミュニケーションが取れているのではないか」と、自社は比較的うまくいっている実感を語ってくれた。
つまり、「オッケー」で済ませてしまう問題が起きるかどうかは、駐在員の在タイ歴の長さやタイ語の習熟度にかなり左右される、という示唆だ。長く現地にいる駐在員がいる現場では、ニュアンスまで確認し合える。しかし、すべての駐在員がそこまでの言語力を身につけられるわけではないし、担当者の異動や交代のたびに、このコミュニケーションの精度が振り出しに戻るリスクもある。属人的なタイ語力に会社の意思疎通を依存させ続けるのは、長い目で見ると危うい。
KOETEだとこう変わる
ここで見落とされがちなのが、日本人の管理者の多くはタイ語を話せないし、書けないという点だ。「文字にして確認すればいい」と分かっていても、本人だけでは難しい。通訳を毎回挟めばコストも時間もかかり、"なぜ"のニュアンスも抜け落ちやすい。
多言語チャットKOETEは、ちょうどここを埋める。管理者は日本語で書くだけで、相手にはタイ語で届く——お互いが母国語のまま、その場で。原文(日本語)は常に併記され、やり取りは記録に残る。
新しい塗装ラインの手順、来週から変わります。乾燥時間を今までの2倍にしてください。理由は前回、乾燥不足で不良が出たからです。
タイ語訳ขั้นตอนไลน์พ่นสีใหม่จะเปลี่ยนตั้งแต่สัปดาห์หน้าครับ กรุณาเพิ่มเวลาอบแห้งเป็น 2 เท่าจากเดิม เหตุผลคือครั้งที่แล้วอบแห้งไม่พอทำให้เกิดของเสียครับ
รับทราบครับ เข้าใจแล้วว่าอบแห้งไม่พอเป็นสาเหตุของของเสียครั้งที่แล้ว จะตั้งเวลาให้ครบ 2 เท่า แล้วเช็คอีกรอบก่อนส่งครับ
(承知しました。乾燥不足が前回の不良の原因だったんですね。時間を2倍に設定して、出荷前にもう一度確認します。)▲ KOETEのチャット画面の例。「わかりました」ではなく、"なぜ"まで含めた理解がタイ語の文字で返ってくる。
特にこの課題に直結するのが「指導記録」機能だ。指導・説明の内容を本人がタイ語で確認し、受領したという記録が残る。これは「伝えた・本人がタイ語で受け取った」という受領・認識の記録であり、この記録だけで解雇等の法的効力が生じるものではない。ただ、口頭のみで何も残らない状態と比べれば、「本当に理解しているか」を後から振り返る材料にはなる。
現場からの気づきや疑問も、○△×と簡単なコメントで完結する日報テンプレートを通じてタイ語のまま伝えられる。「聞きたいけれど聞きづらい」という壁を、少し下げる一助になる。
翻訳はあくまで日常の業務コミュニケーションを支援するものであり、法的文書等への利用は推奨していない。指導記録も、受領・確認の記録であって、それ自体が懲戒や解雇の同意を意味するものではない。
まずは一歩目から
「わかりました」を「本当にわかった」に変えるのは、一度に全部を変える必要はない。まずは一つの手順変更や、繰り返し起きているすれ違いから、タイ語での説明と受領確認を試してみる。それだけでも「オッケーで済ませてしまう」を減らす一歩目になりうる。
KOETEは、クレジットカード不要・最大20名まで、10日間無料で試すことができる。
よくある質問
タイの現場で「わかりました」と言われても、実は理解されていないのはなぜですか?
遠慮の文化や、その場をやり過ごす習慣、上司に何度も聞き返しづらい空気などから、内容を十分理解していなくても「オッケー」「わかりました」で会話が終わってしまうことが多いためです。同じ説明を繰り返しても改善しない、という声は複数の現場で聞かれます。
「わかっているはず」で止まらないためにはどうすればいいですか?
口頭でのやり取りだけに頼らず、指示や説明を文字として本人の母国語で示し、本人が理解した内容を書いて返す、あるいは確認したという記録を残すことです。基準を「言った」から「伝わった」へ引き上げる考え方です。
在タイ歴や言語習熟度によって、コミュニケーションの精度は変わりますか?
変わるという実感を語る駐在員は少なくありません。在タイ歴が長い、あるいはタイ語に堪能なスタッフが多い現場では、細かいニュアンスまで確認し合えている、という声もあります。ただし、駐在員全員がそこまでの言語習熟度を持てるとは限らず、属人的な対応にはリスクも伴います。
KOETEはこの課題にどう役立ちますか?
13言語のAI翻訳で、管理者は日本語で書くだけで相手にはタイ語で届きます。「指導記録」機能で、伝えた内容を本人がタイ語で確認・受領したという記録が残るため、口頭だけでは分からなかった「本当に理解しているか」を後から追跡できます。
KOETE