こんな場面に、心当たりはないだろうか。

繁忙期に合わせて短期の派遣スタッフを増員した。ベトナム人、ミャンマー人、インドネシア人と国籍もさまざま。リーダーは口頭とハンディ端末の画面で、ロケーション番号と品番、必要数を伝えた。ところが検品の段階で数が合わない。棚を確認すると、隣の似た品番のケースが抜かれていた。「A-12って言ったのに、なんでA-21から取ったんだ」と聞いても、本人はハンディの日本語表示を見て、聞き取れた数字だけを頼りに動いていた――というだけのことだった。

どちらが悪いという話ではない。ただ、このズレが積み重なると、検品ラインは常に手戻りに追われ、リーダーは「何度言っても間違える」と疲れ、スタッフ本人は「怒られてばかりだ」と委縮していく。実はこれは、外国人スタッフ本人の注意力の問題というより、繁忙期の倉庫という現場そのものが、指示を正確に届けにくい構造を持っていることが多い。短期間で大量に人が入れ替わり、ロケーションや品番は日々変わり、母国語が違う相手に口頭・その場限りで指示を通そうとすれば、日本人だけのチームでも同じことは起きる。誰が担当しても難しい構造なのだ。

この記事では、なぜ物流倉庫で作業指示が伝わりにくいのか、放置するとどうなるのか、そしてどう直していけばいいのかを、現場目線で整理する。

なぜ倉庫の外国人スタッフに作業指示が伝わりにくいのか?

物流倉庫ならではの背景として、主に3つの要因が重なっている。

要因現場で起きていること
繁忙期の大量採用短期間で多国籍のスタッフが一気に増え、一人ひとりに時間をかけた教育ができないまま現場に配置される
ロケーション・品番・個数の口頭伝達棚番や品番、必要数はハンディ端末や口頭で伝えられ、似た番号・似た品番の聞き間違い・見間違いが起きやすい
当日の急な変更欠品による代替品番への振替、ロケーション変更などがアナウンスや口頭で流れ、記録に残らない

特に見落とされやすいのが、繁忙期という条件そのものだ。ふだんなら聞き返せる場面でも、次から次へと仕事が回ってくる繁忙期は、リーダー側も一人あたりにかけられる時間が短くなる。日本語がまだ得意でないスタッフほど、忙しいラインの中で聞き返すこと自体に気後れしてしまい、分かったふりでピッキングに入ってしまうことがある。これは本人の問題というより、聞き返しにくい空気や、次の作業に追われて「もう一度確認して」と言い出しにくい現場の構造の問題だ。

このまま放置すると何が起こる?

「言った/言わない」のすれ違いは、単なる気まずさでは終わらない。積み重なると、現場に実害の形で跳ね返ってくる。

  • 誤出荷・返品対応コスト:違う品番・違う数量が客先に届き、返品・再出荷・クレーム対応が発生する
  • 原因調査が追えない:口頭のみの指示は記録が残らない。棚卸差異や誤出荷が起きたとき、「誰に・いつ・何を伝えたか」を後から示す材料が手元にない
  • 労災リスク:フォークリフト稼働エリアや立入禁止区画などの安全に関わる指示が伝わっていなければ、ヒヤリハットや事故につながりやすくなる
  • 信頼関係の摩耗:「何度も同じミスをする」という誤解が積み重なり、繁忙期を支えてくれたスタッフの次回稼働への意欲にも影響する

特に見落とされがちなのが、原因調査が追えないという点だ。誤出荷が起きたとき、「そもそも本人にどの指示が、いつ、どんな形で伝わっていたか」が記録に残っていないと、原因は「本人の不注意」で片づけられがちになる。実際は指示の伝え方そのものに構造上の穴があったとしても、そこにはたどり着けない。

日本人の管理者がハンディ端末の画面を見せながら外国人スタッフに作業手順を説明している様子
「伝えたつもり」を減らすには、口頭・その場限りに頼らない仕組みが要る。

どう直すのか? ─ 「言った」から「伝わった」への切り替え

対策の考え方は、外国人スタッフに指示が伝わらない現場の直し方で扱った一般的な指示の伝え方と同じ土台の上にある。物流倉庫に絞って言えば、ロケーション・品番・個数の指示を、口頭の一回きりから、本人の母国語の文字として残し、読んで確認したところまでを記録する形に変える、という切り替えになる。

やることは大きく3つに整理できる。

  • 文字にする:口頭の指示だけでなく、当日の欠品・品番振替も文字で残す
  • 母国語にする:日本語のままではなく、本人が読んで理解できる言語にする
  • 確認を記録する:本人が「読んだ・理解した」ことを、後から追える形で残す

優先してこの形に切り替えたいのは、次のような指示だ。

  • 欠品による代替品番への振替、ロケーション変更など、当日の作業内容変更
  • フォークリフト稼働エリア・立入禁止区画など、安全に関わる注意事項
  • 繁忙期に新しく配置するスタッフへの、初回のピッキング手順説明
  • 検品基準や梱包ルールの変更

すべてを一気に変える必要はない。まずは誤出荷や事故につながりやすい項目から、優先順位をつけて始めるのが現実的だろう。

現場ではどう実現するか ─ KOETEという選択肢

とはいえ、「母国語で文字にして、確認まで記録する」を人力だけでやろうとすると、現実的な壁にぶつかる。繁忙期は特に、リーダーの多くがスタッフの母国語を話せないし書けない。かといって毎回通訳を挟めば、ただでさえ忙しい繁忙期にコストも時間もかかり、"なぜ"のニュアンスも抜け落ちやすい。

ここを埋めるのが、多国籍チームの報連相に特化したAI翻訳搭載チャットKOETEだ。仕組みはシンプルで、リーダーは日本語で書くだけ、相手にはその人の母国語で届く。お互いが母国語のまま、その場でやり取りできる。原文(日本語)は常に併記され、やり取りはすべて記録として残る。

▲ KOETEのチャット画面の例。日本語で書いた品番振替の指示が、相手には母国語で届く。

KOETEの機能のうち、この記事のテーマに直結するのは次の3つだ。

  • AI翻訳(13言語対応):ミャンマー語・タガログ語など、対応の難しいマイナー言語も含めて自動翻訳。繁忙期に人が入れ替わっても、日々の翻訳作業そのものをなくす
  • トラブル報告:誤出荷や欠品を発生→対応→解決の流れでスレッド化し、対応漏れと原因調査の抜けを防ぐ
  • 改善提案・日報:「この棚は見づらい」といった現場の気づきを、○△×の簡単な入力とテンプレートでハードルを下げて拾い上げる

口頭でのやり取りと違い、KOETEは翻訳が自動で入り、話題ごとにスレッドで整理され、対応状況がリアルタイムで確認できる点が異なる。「言った/言わない」を減らすための土台として、記録が自然に積み上がっていく設計になっている。

まとめ ─ まずは一歩目から

物流倉庫で作業指示が伝わらないのは、外国人スタッフ本人の注意力の問題ではなく、繁忙期の大量採用・口頭伝達・当日の急な変更という構造に原因があることが多い。この構造を放置すると、誤出荷や返品対応コスト、原因調査が追えない状態、そして労災リスクにまでつながりやすい。

直す一歩目は難しいことではない。ロケーション・品番・個数の指示を母国語の文字にして、読んで確認したところまで記録に残す。まずは当日の急な変更や、安全に関わる区画の注意事項から始めてみるだけでも、「伝えたつもり」の誤出荷は着実に減っていく。

よくある質問

誤出荷やピッキングミスは、外国人スタッフの不注意が原因ですか?

本人の不注意だけが原因とは限りません。ロケーション・品番・個数の指示が口頭やハンディ端末の日本語表示のみで、母国語での確認手段がないという伝え方の構造そのものに原因があることが多く、これは相手が誰であっても起こりうる問題です。とくに繁忙期に短期間で大量採用したスタッフほど、教育の時間が足りないまま現場に立つことになりがちです。

当日の欠品・品番振替の連絡は、何から記録に残せばいいですか?

すべてを一度に変える必要はありません。まずは誤出荷につながりやすい欠品・代替品番の振替連絡や、フォークリフト稼働エリアなど安全に関わる区画の注意事項から、本人の母国語の文字にして、読んで確認したところまでを記録に残す形に切り替えるのが現実的です。

KOETEはこの問題にどう役立ちますか?

倉庫リーダーが日本語で書くだけで、スタッフにはその人の母国語で届くAI翻訳搭載のチャットです。原文の日本語も常に併記され、ロケーション変更や品番振替のやり取りは記録として残ります。トラブル報告のテンプレートもあり、誤出荷の原因を後から追いやすくなります。

繁忙期だけ入る短期スタッフでもすぐ使えますか?

はい。管理者側の準備は日本語で書くだけなので、短期のスタッフを迎えるたびに翻訳の準備をし直す必要はありません。ただし翻訳はあくまで日常の業務コミュニケーションを支援するものであり、契約書などの法的文書への利用は推奨していません。

導入にかかる時間や費用はどれくらいですか?

クレジットカード不要・10日間の無料トライアルから始められます。申込みの翌営業日から環境設定が可能です。料金プランは人数規模に応じて複数用意されています。

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