AIに自社の改善案を考えてもらうとき、そのAIは自社について何を知っているでしょうか。会社の紹介資料や売上の数字は渡せても、昨日、現場のスタッフが気づいた小さな不便までは届いていないかもしれません。

KOETEを開発するうえで重視しているのが、そうした現場の経験を言葉として残すことです。母国語で書かれた日報や改善提案には、管理者がその場にいなければ知ることのできない情報が含まれています。

会議用の報告になる前の情報

AIに関する打ち合わせで、KOETEの開発側から、現場の経験を蓄積する価値を説明しました。例として挙げたのは、飲食の現場でスタッフがお客様から受け取る、味に関する細かな要望です。

その場では受け止めていても、忙しい一日の中で終わってしまう。別の言語で上司に説明する必要があれば、報告するほどではないと判断されるかもしれません。しかし、同じような声が繰り返し出ているなら、メニューや案内を見直す手がかりになる可能性があります。

製造の現場でも、作業しにくかった場所や、引き継ぎで説明し直した内容など、正式な報告書になる前の情報があります。現場の人が普段使う言葉で残せれば、後から具体的な状況を確かめられます。

開発側からは、日報や改善提案、トラブルの記録を、現場の経験を蓄えるものとして捉えていると説明しました。ここには、一般的な質問だけをAIに投げても得られない、自社の仕事の材料があります。

AIにつなぐ前に残したいもの

残すときに大切なのは、文章を整えすぎないことです。誰かが困っていると書いたなら、何に困ったのか。いつ、どの場面だったのか。すでに対応したことはあるのか。後から人が確認できる程度の文脈を添えると、記録の使い道が増えます。

原文と翻訳、写真などの関連情報をたどれるようにし、確認できた事実と本人の推測は分けて扱う。要約するときにも、その区別を残したいところです。記録は集めた時点で完成するものではなく、確認や対応によって内容が更新されていきます。

AIと外部のデータを接続する仕組みの一つに、MCPがあります。Anthropicが公開したこの標準は、AIをデータ源やツールにつなぐためのものです。接続の仕組みがあっても、現場の出来事が記録されていなければ、その出来事を材料にした検討はできません。MCPの公式紹介

要約を現場への質問に戻す

蓄積した記録をAIで整理すれば、確認すべき話題を探す助けになります。ただし、AIの文章を、そのまま現場の結論にすることには慎重であるべきです。米国NISTも、生成AIが誤った内容を確信的に出力するリスクを整理しています。NISTの生成AIリスク資料

たとえば、似た内容の報告が集まっていても、同じ原因とは限りません。報告が少ない部署も、問題が少ないのか、記録する余裕がないのかは別に確認が必要です。AIが拾った話題を手がかりに、元の発言へ戻り、現場の担当者と確かめる。その使い方を考えたいと思います。

現場に記録を求めるなら、その目的や共有範囲を説明し、書いた人への返事も必要です。集めた言葉が仕事の改善につながり、その結果が現場に返ってくるところまでを一つの流れにする。

KOETEで目指しているのは、母国語で交わされる日々の会話を、管理者が理解し、次の確認や改善に使える状態にすることです。AIの活用を考えるとき、自社でしか得られない経験が、今どこに残っているか。その問いから始める価値があると考えています。

KOETEについて

日報やトラブル報告を、月報や改善を考える材料へ。KOETEの記録と外部AIをつなぐ使い方は、KOETE公式サイトで紹介しています。AIが作った内容は、元の記録と照らして確認してください。

参照対象と、人が確かめること

外部AI連携は読み取り専用です。対象は日報、全員公開のトラブル報告・改善提案・タスク、鍵のないグループのチャットです。利用前に対象範囲と外部AI側の契約・設定を確認してください。

記入用の想定例:事実:__/推測:__/原記録:__/人の確認:__/次の行動:__。事実と推測を混ぜず、出力を原記録と照合します。

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